みやこ染「ティントプリントセット」を使ってみた体験談を紹介します。
シルクスクリーン印刷を自宅でするときに便利なのがシルクスクリーンセット。その中でもシルクスクリーンの版づくりからプリントまで簡単にできるのがみやこ染「ティントプリントセット」です。
簡単とは言いましたが、本当に簡単か…というといろいろな思いはありますが、乾燥は3つあります。
・版づくりは時間がかかる
・手描きなのでゆがみやいびつになる
・正確な版作りをしたいなら「スリマッカ」「Tシャツくん」
この「ティントプリントセット」はやり方によっては一番安価で挑戦でできます。
ただ、版を作るのに手で描いてインクが乾くのを待つ、という時間が忙しい現代人にとって、必ずしもピッタリとは言えません。
きれいで正確な印刷に慣れてると、手書きのいびつさに違和感を覚えるかもしれません。
今回気づいたのは「版」の大切さ、です。ティントプリントセットの体験談を交えてお話します。
↓ティントプリントセットと同じ「みやこ染」が監修しています
みやこ染「ティントプリントセット」を使ってみる
この商品を買うまでに3週間くらい悩みました。
比較は「スリマッカ」「Tシャツくん」で、その3つの特徴はこちらの記事をご覧ください。
ティントプリントセットの内容
届いたときの感想は「コンパクト」でした。これだけで版を作る準備は整いました。
あとは別売りのインクを買えばプリントもOKです。
のちのち思うのですが、こんな本格的なプリントなのに、道具がこれだけで済む(揃えればいろんなグッズはありますが)のはすごいなという気持ちです。
ティントプリントセットの版作り流れ

みやこ染「ティントプリントセット」は版作りのためのキットです。
メルトインクとリキッドマスクを使うのが一番のハイライト、どちらも水溶性で取り扱いやすく無臭なのがポイントです。
下書きを描く

スクリーンを取り出す前に、まず紙に図案を描きます。
ティントプリントセット付属のシルクスクリーンのサイズに合うように絵を描きます。
スクリーンに図案を写す(下書き)

鉛筆はBでしたが、そんなに力を入れなくてもスムーズに描くことができました。
図案を元に「表面」に鉛筆で下書きをします。
スクリーンには表と裏があります。
枠にスクリーン(薄い網)が貼られている平らな面が裏、凹状な面が表面です。
今回は2色刷りのために、上下に図案をわけてみました。
(ここで確認)
その次の工程でメルトインク(青)で下書きをなぞるのは裏面です!!
私は間違えて表面からメルトインクでなぞったので…やり直しました!!
お気をつけください。
シルクスクリーンにメルトインクで図案を描く

ついに!この作業が1番緊張するのでは?
筆でメルトインクを使って絵を描きます。
とはいえ普通に筆で絵を描くわけですが…筆なんてそんなに使わないしとにかく緊張しました。
ポイントはメッシュに色をのせること

網戸の網目をインクで埋めるように、メルトインクに絵を描きます。
筆で描いているときは網目をそこまで意識しませんが、ある程度描いた後、光に当てて透かすとメッシュの四角に穴がある部分が見つかります。
その穴をなぞったり、埋めたりして、また透かしてしっかりと線を描きます。
メルトインクは描きやすい
メルトインクは粘りがある(けど糸を引くほどではない)ので、扱いやすいです。
筆に多めにつきますがボタッと垂れることはなく、思ったよりも描きやすいのはよかったです。
でもベタ塗りが多いとメルトインクの量が必要になるし、メッシュの穴を埋めるのも大変かな、と感じました。
乾燥は一晩くらいおいてもいいかも?

6時間後に見たら厚い部分はまだ乾いていないように見えました。
でも一晩置いたらボコっとしてる部分もしっかり乾きました。
一晩置くことで、新たに穴がみつかることもあり…その度にインクで埋めてまた乾かし…としていると、いつまで経っても次に進めません。
薄い部分もあったりしますが、あとで意外に修正もできるので初回はサクサク進めたほうがいいかもしれません。
メルトインクは水で溶ける

最初は恐る恐るメルトインクで図案をなぞっていました。
失敗してスクリーンがムダになっては困ります。
しかし失敗してもメルトインクは水(公式ではお湯)で溶けるので、スクリーンはムダにはなりません。
ただ、一生懸命描いた時間は消えるので、失敗しないようにはしたいです。
シルクスクリーンにリキッドマスクを塗る

メルトインクが乾いたら、緑色のリキッドマスクを上から塗ります。
これも「裏面」から塗ります。
先程の青いメルトインクは名前のとおりお水(お湯)に溶けます。
緑のリキッドマスクはスクリーンのメッシュにマスクをつけます。
下絵をなぞったメルトインクの場所だけ溶けてシルクスクリーンの版ができる、ということです。
リキッドマスクこそ緊張する
緊張しますが、リキッドマスクを塗るのに失敗しても、すぐお湯で流せば溶けるそうです。
スクリーンはムダになりませんが、メルトインクまで流れてしまうので…ふりだしに戻ります。
初めての場合はかなり緊張するでしょう。
私はなんどもイメトレをして、新聞紙で実際にリキッドマスクを伸ばすなど練習しました。
意外にうまくいくリキッドマスク
実際にやってみると、意外にうまくいきました。
スキージーはどのくらい力を入れたらいいのだろう、リキッドマスクはどれくらい塗ったらいいのだろう、不安はありますが、結構なんとかなります。
リキッドマスクが乾いたらスクリーンをお湯で洗う

スクリーンをお湯で洗います。
緑のリキッドマスクだけ残り、青のメルトインクはスルスルと溶けていきます。
完全に溶けずに薄い青になってる部分をこすると消しゴムのカスみたいなものが出てくるので、それもキレイに落とします。
リキッドマスクも修正できる

公式から出ている修正方法として「穴があいてしまったら筆などでリキッドマスクを平らになるように塗り修正してください」とあります。
なのでリキッドマスクがうまくつかなくても、手で修正していい!
あまりにボコッとしなければ意外となんとかなります。
ここまできたら版の完成です!!
ついにシルクスクリーンプリント!

ティントプリントセットはインク(ピグティント)がついていません。なので別途購入が必要です。
私は黒、白、ピンクを購入しました。
黒がなぜかゼリー状

このインクの粘度がデフォルトなのかわかりませんが、黒いインクは少しゼリー状でした。
白とピンクは普通に絵の具のような粘度なのになぜなのだろう~と思いつつ、一応使えています。
リキッドマスクで鍛えたスキルで少し気楽にプリント
初めては緊張こそしますが、版を作る段階でスキージーでインクを伸ばしているわけです。
実際のインクを伸ばすのは気楽なものです。
ピンク(白系)はメッシュが目詰まりしやすい

シルクスクリーンは目詰りします。
布との相性もありそうです。
インクによってどれだけ変わるかはわかりませんが、ピンクは1~2回で詰まってしまいます。
これはメッシュの粗さにもよるかもしれません。
ティントプリントセットのスクリーンはメッシュが120という細かめ、細かいとその分、細い線も表現できるのでどちらが良いのかは悩ましいところです。
位置合わせが難しい

2色刷りの場合、位置がうまく合いません。
合わないのも味、とはいえ、最低限合わせたいものです。
この位置合わせのためにいろんな道具があるんだな~としみじみ思いながら、作品は完成しました。
シルクスクリーンプリントの結論は版作りが大変だった
自作でシルクスクリーンプリントグッズを作りたい!
そんなときにシルクスクリーン、とくに安く版づくりができるティントプリントセットは便利です。
ですが、細かい図案のプリントをしたい、失敗なく版を作りたいときは少し難しいかもしれません。
手描きで大味のプリントをしたい!
シルクスクリーンプリントというものを勉強してみたい!
そういう方には「ティントプリントセット」は本当にオススメです。
私はティントプリントセットで版の大事さを感じました。
細かいデザインは「スリマッカ」に注文して、背景をざっくりつけたいときは「ティントプリントセット」で作る、といったことをしようかと思っています。
興味がある方は、ぜひシルクスクリーンプリントに挑戦してみてくださいね!
↓ティントプリントセットと同じ「みやこ染」が監修しています