【体験談】稽留流産③ ~手術中の幻覚はレインボーな花畑~

稽留流産の手術中、幻覚を見ました。

手術時間はそう長くなかったと思いますが、起きると2時間くらい経っていました。
原因は麻酔の効きすぎだと思いますが、見たことない景色にしばらく興奮しました。

▼手術した日の1日

バニラの香りで幻覚が始まる

手術台に横になり、事前の処置をしてもらったあと、フッとバニラのような甘い匂い。
たちまち目の前の場面が変わります。

ボブスレーのような機体に乗りこむ

座っている姿勢で空から落ちるように、ボブスレーのような機体に「スポッ」と乗り込みました。

「スタートします」

というアナウンスがあり、動き出しました。

 

リニアの速さで世界を駆け巡る

眼の前は虹色の世界が広がります。
そして、「リニアの速さ」で日本中を駆け巡りました。

この「リニアの速さ」というのは、そのとき頭の中で聞こえてきたものです。
日本地図の上を縦横無尽に走り回る機体。
リニア、っていっても、なんか新幹線みたいだな、と思った記憶があります。
ゴーーーーーッという音と共に、体が吹き飛ばされるような速さで進みました。

 

トンネルを抜けると花畑

途中でトンネルがありました。
そこを抜けると花畑が広がります。

まるで村上隆の花のような、大きなヒマワリのような、カラフルな花畑が一面に広がります。
青空が広がり、まぶしいレインボーな世界です。

といっても「リニアの速さ」で走っているので、怖くて、もう早く止めてほしいと願いしました。

「終了です」と聞こえる。フリーズドライされる。

誰かの「終了です」というアナウンスがあり、機体は止まりました。
体感で3分くらい。

「やっと止まった」という安堵感。
そこからは地獄でした。

わたしの体はフリーズドライされたように動かない
茶色い直方体のかたまりになって、グルグル回りだします

この茶色の色合いは、まるでミイラのようでした。
小さいころに上野の博物館で見た、楼蘭の美女のような枯れた茶色。

水平方向にグルグル回り、気持ち悪くて死にそうでした。

 

足先、手先から感覚が戻る

目が回りながらも、足の先、手の先に感覚が戻ってきた気がしました
そして猛烈な吐き気。

「気持ち悪いよ」
「助けて」
「目が回る」
「吐きそう」

と、うわ言を(恐らくずっと)口にしていました。

第三者からみたら、ラリってる人だったでしょう。
でも、本当に目が回って、気持ち悪くて、逃げ出したいのに逃げられない。

ただ横になっていただけなのに。

徐々に体の中心まで感覚が戻り、自分は手術してたんだ、ということまで思い出しました。

 

人間体に戻る


手術は午後1時からでしたが、なんとか立ち上がれるようになったのは午後3時15分。
このときにやっと人間体に戻れた気がしました。

手術は何分だったのか。
手術が終わってからどれだけ苦しんでいたのか。
リニアとはなんだったのか。
あの虹色の世界はどこだったのか。

混乱と吐き気でグルグルしながら、個室のベッドに横になっていました。

なんとか起き上がれるようになってから、手術室から待機の個室まで車椅子で移動。
30分くらい休んで、やっと立って歩けるようになりました。

 

麻酔の効きすぎ

手術後、先生から手術の報告がありました。

先生は、
「お酒強い方?」「麻酔が効かなくて強めにしました、すみません!」
とまず言い、手術の成功を伝えられました。

いろいろ思うことがあったけれど、自分の頭の整理ができず、何もいえず、タクシーで帰宅しました。
タクシーに乗るとなんだか興奮して、運転手さんとベラベラしゃべって帰宅しました。

そして、オカルト好きな父に真っ先に電話して、興奮を伝えました。
きっと父は、流産して、手術した気の毒な娘をどう扱っていいか、ちょっと戸惑っていたと思います。
でもそのときのわたしは、あの経験をもれなく話そうと必死で伝えました。

そうやって、わたしの喪失感は幻覚の興奮に隠れ、長い1日は終わりました。

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