ワンオペ育児真っ最中のぼっちネコです。
図書館で本をブラブラ見ていたら、ド直球のワンオペ育児本を見つけました。
家事・育児にまつわる調査結果や、インタビュー満載の本。
ワンオペ育児を妻、夫両方の目線から客観的に冷静に見つめられる良い本でした。
目次
「産後の恨みは一生忘れない」
第1章に「産後の恨みは一生忘れない」という言葉が出てきます。
わたしも実感としてありますが、多くの人(女性)が感じるようです。
調査では
夫の育児・家事参加割合が多い、時間が長いほど夫婦仲は良好、第2子の出生確率も高いとのこと。
ではなぜ育児しないダメな夫と結婚しよう、子供を作ろうと思ってしまったのか?
社会学者の山田昌弘さんいわく、
仕事ができる男性はモテる、魅力的と感じて結婚、
しかし
子供が生まれて家事育児に参加するかというとそうではない。
もちろん参加する男性もいるけど、結婚前にそれを見抜くことは難しい。
結婚相手として選んだ時と、実際生活するときで求めるものが変わってくるということ。
一人っ子と兄弟のいる子に有意な差はない
「ひとりっこはわがまま」という説は多数の研究が否定しているそうです。
「きょうだい関係の良い面だけを思い描いて、子どもの発達の不良を少子化を結び付けて語る論考は少数派であるひとりっ子への偏見に過ぎない」
との識者の指摘もあるとのこと。
「2人めは?」のプレッシャーに押しつぶされそうなときは、この言葉を思い出したい。
母親世代の価値観と現実に人格のまた裂き状態になっている
わたしの母もそうなんですが、
「今の時代は、女性は結婚しても仕事を続けられるんだよ(自分はやめて主婦になったけど)」
と何百回も聞かされてきました。
娘(わたし)に自分ができなかったことを期待している。
でも現実、仕事と家庭の両立は難しい。
このギャップに苦しむことが「人格のまた裂き状態」とのこと。
(このあたりは上野千鶴子さんの研究)
はーーーなるほど。
わたし自身は正社員で働いてたけど、
遠距離恋愛してた夫と結婚するために寿退社。
派遣社員をしてたけど、稽留流産したときに
「自分の体調不良も自由に休めない、子供ができても果たして休めるのか?」と不安に思ってやめました。

母の理想のバリキャリになりたかったけど、無理。
派遣社員でさえも自由に働けない(正社員以上に難しいかも)。
ほんとまた裂き。
正規の賃労働がヒエラルキーの上位
社会学者の仁平典弘さんによると、
家事育児など「無償の労働に価値がない」とみなされてしまうのは、
お金が支払われる「賃労働」が人間の活動領域の頂点に君臨してるから。
無償の労働に価値がないわけではない。
賃労働じゃないから価値がないとみなされてしまう。
「稼いでる奴が偉いんだぞ!」と言ってる夫の世界観では、わたしの価値は下になってしまう。
書いてて悲しくなってきました。
自称イクメン問題
twitterでもしょっちゅう問題が起きる自称イケメン問題。
社会学者の松田茂樹さんによると、
育児を「世話」「遊び」に分けて調査したところ、
父親の労働時間が短い場合、
子供と遊ぶ回数は増えても、子供を世話(洗濯、食事の用意など)する回数は増えない。
遊びはするけれど、世話はしない。
「子供とは遊びたいが家事はしたくない」
「家事はやっても報われない」
「単なる労働」
(社会学者 大和礼子さんの調査)
父親の中にも家事・育児(世話も)をするスーパーお父さんもいます。
しかしスーパーお父さんに立ちはだかる出世など会社の問題。
パタハラの問題もこの本には出てきます。
男性の家事回避策略あれこれ
この本で一番納得したのがこの話でした。
家事育児をしない夫に妻が働きかけたとき、夫たちが意識的・無意識的にとる戦略があるそうです。
(ホックシールド名誉教授調べ)
- 本音とは違う理由を口にする(お世話してくれる特権を失わないように「俺の仕事はつらいんだ」「家事するように育ててもらえなかった」と言う
- 特定の家事フェチになる(洗車、掃除など自分のタイミングでできるもの)
- 家事の削減を言い張る(外食にしよう、しわがあってもいいからアイロンかけなくていい、など分担が自分になることを避ける)
- 一家の大黒柱としてふるまう(あえて育児も家事もしない)
これを読んで、もやもや~っとしてたのが晴れました。
特に「家事の削減を言い張る」は納得。
うちは土日外食です。わたしは出かけるの面倒って思うけど、夫は食事の準備も片付けもしたくないんですよね。
家事もゴミ出しだけですが、本人はそれで家事やってるって思ってるんでしょう。
女性が家事育児を望んでしているわけじゃない
自分のやりたいこと(キャリアアップや趣味、飲みに行く、友人とのおしゃべりなど)を辞めてまで子育てしてるのは望んでるのではない。
安心して任せられる態勢がない。
夫にも頼れない、保育園も入れられない。
じゃあ、わたしがやるしかない。
育児は簡単にやめられないから、自分がやるしかない。
(社会学者 江原由美子さんの議論)
悲しいですよね。
やりたくないわけじゃないけど、全部引き受けられるほどのキャパはないし、他にもやりたいことはあるし。
それをわかってくれる人もいなくて、孤独で。
この本で「望んでしてるわけじゃない」と言語化されて、ホッとしました。
家事育児も、妊活も保活も。ワンオペ育児の現状がわかる本
ワンオペ育児って言葉、被害者意識が強くてちょっと嫌でした。
でもこの本を読んだら、実際、被害者だよなと腑に落ちました。
家事育児だけで終わる毎日はつらいし、
そのつらさに共感もなく、手伝いもしない夫も嫌いだ。
その感情は間違いじゃない。
まずそれがわかったら、まずおやつを食べようかな(^^)/